手元供養について、その実施方法と留意点に関して、丁寧にご案内申し上げます。
2024年02月28日 18:44
避けられないこととして、大切な方を亡くされる経験は誰もが平等に直面する可能性がございます。
そうした際には、故人の冥福を祈り、供養を行います。
供養とは、亡くなった方へのお供えや祈りを捧げることであり、葬儀や法事、お墓参り、仏壇での手を合わせることも含まれます。
近年では、葬儀やお墓の形態が多様化し、新しい供養の方法が注目されています。
中でも、特に注目されているのが手元供養です。
本稿では、手元供養について、その具体的な方法と実施する際の留意点を詳しくご説明いたします。
【目次】
1.手元供養とは?
2.手元供養の方法
2.1 骨壺を使用する方法
2.2 アクセサリーを利用する方法
2.3 花器やぬいぐるみを利用する方法
3.手元供養を行う前に理解しておくべき全骨と分骨の違い
3.1 全骨を選択した場合の考慮点
3.2 分骨を選択した場合の考慮点
3.3 全骨・分骨時の手続きについて
4.手元供養を行う際の留意点と遺骨の取り扱いについて
4.1 お墓に納骨する
4.2 永代供養墓に納骨する
4.3 海や山に散骨する
4.4 樹木葬を選択する
5 手元供養が可能な宗教について
6.まとめ
1.手元供養とは?
手元供養とは、ご自宅やご自身が日常を過ごされる場所に故人の遺骨を保管し、供養を行う方法を指します。この供養方法は2000年代に入ってから始まり、比較的新しい形態として受け入れられてきました。お墓への訪問が難しい地域にお住まいであったり、お墓を持たない、またはマンション暮らしで仏壇を置くためのスペースが限られているなど、様々な環境や家族構成の変化により、手元供養が選ばれるようになりました。
手元供養を行う際には、遺骨をお墓に納めずに自宅で大切に保管したり、身につけることができる形で持ち歩いたりするなど、様々な方法で故人を偲びます。故人を身近な場所に感じられることから、多くの方々が手元供養を選ばれるようになっています。
日本においては、伝統的に遺骨は四十九日までに納骨することが一般的であり、「納骨しなければ成仏できない」といった言い伝えもありますが、これらはあくまで伝承であり、必ずしも根拠に基づくものではありません。仏教の教えにおいても、納骨しないと成仏できないわけではないとされているため、亡くなった方を身近に感じたいという思いから手元供養を行う方が増えています。
お墓がないといった事情だけでなく、故人を深く偲ぶ心から手元供養を選ばれる方も多くいらっしゃいます。日々の暮らしの中で故人を思い出す機会を持つことができるため、大切な方を亡くされた悲しみを抱える方々にとって、手元供養は心の支えとなることがあります。
2.手元供養の方法
手元供養を行う方法には多岐にわたる選択肢がございます。選択されるアイテムによって、費用も異なることが一般的です。ここでは、手元供養において一般的に選ばれる代表的なアイテムを3つ、丁寧にご紹介いたします。
2.1骨壺を使用する方法
まず、遺骨や遺灰を骨壺に納め、ご自宅で大切に保管する方法がございます。お墓に納めるための骨壺は大きく場所を取るため、手元供養ではスペースをとらないミニサイズの骨壺を選ぶことが一般的です。このミニサイズの骨壺を、故人の写真やご位牌と共に飾ることにより、リビングや寝室など、限られた空間でも供養の場として適切に利用することが可能です。骨壺には、さまざまな素材やデザインが存在し、ご自身の好みや故人を偲ぶデザインを選ぶことができます。
2.2アクセサリーを利用する方法
外出時でも故人を身近に感じることができるよう、アクセサリータイプで遺骨を持ち歩く方法も人気があります。この方法は、常に故人とのつながりを感じたいと望む方や、アクセサリーの着用に抵抗がない方、特に若い世代に推奨されることが多いです。遺骨を納めるアクセサリーの種類やデザインは多岐にわたり、選択肢も年々増加しています。ペンダントトップやブレスレット、キーホルダーなど、様々な形状で故人を偲ぶことができます。
2.3花器やぬいぐるみを利用する方法
ぬいぐるみや花器など、一見して遺骨であることが分からないアイテムに納める方法もございます。このタイプのアイテムは、訪問者がいる際にも違和感なく配置できるため、人気があります。特に、ぬいぐるみタイプは見た目のかわいらしさから、持つだけで明るい気持ちになれるというメリットもございます。さらに、遺骨や遺灰を加工して陶器や花瓶などのインテリアアイテムを作成する方法もあり、日常生活の中で故人を身近に感じられるようにすることができます。
これらの方法を通じて、故人を偲び、手元で供養を行うことは、ご遺族にとって大切な故人を心のそばに感じることができる貴重な手段となります。
3.手元供養を行う前に把握しておくべき全骨と分骨の違い
手元供養を検討される際に、まず理解しておくべき重要な点が「全骨」と「分骨」の違いです。全骨は故人の遺灰全体を保管することを意味し、対して分骨は遺灰の一部を手元で保管し、残りをお墓や寺院等に納骨する方法を指します。どちらを選択するかは、故人への思いやご遺族の希望により異なります。多くの方が全骨を選ぶこともありますが、実際には分骨を選択し、一部を手元に残す方が一般的です。
3.1 全骨を選択した場合の考慮点
全骨を選択する場合、収納場所や方法を考慮する必要があります。手元供養に用いるミニサイズの骨壺では、全ての遺灰を収納することは難しいため、工夫が求められます。複数の骨壺に分けるか、粉骨によって遺骨の体積を減らす方法などが考えられます。また、全骨が収納可能な仏壇もあり、これはお墓を購入するよりも経済的であり、お墓参りやお墓の維持管理の手間が省ける利点があります。しかしながら、仏壇を置くスペースがない方には、全骨は推奨されません。
3.2 分骨を選択した場合の考慮点
分骨を選択する際は、家族や親族との十分な話し合いが必要です。分骨は個人の意見のみで決定することはできず、全員の合意の下で初めて進めることができます。また、どの程度の量を手元に残すかは、ミニサイズの骨壺であれば一握り程度、アクセサリーに納める場合は一つまみ程度が目安となります。分骨によって家族間で遺骨を分け合ったり、若い方々がアクセサリーとして身につける選択をすることも増えています。
3.3 全骨・分骨の手続きについて
全骨や分骨を行う際には、墓地や寺院への納骨に際して埋葬許可書の提出が必要になります。場合によっては、分骨証明書も求められることがあり、これは火葬を行った場所の市区町村で発行されます。葬儀社に事前に分骨の意向を伝えておけば、手続きを代行してくれる場合もあります。
手元供養を行う場合、これらの証明書は直接必要ありませんが、将来的に納骨を考慮される場合は、納骨証明書の取得を検討されることをお勧めします。
4.手元供養を行う際の留意点と遺骨の取り扱いについて
手元供養を実施するにあたり、遺骨の取り扱いについて正しく理解しておくことが重要です。遺骨を埋葬する場所は、法律により墓地など特定の場所に限定されています。分骨後に残る遺骨の適切な埋葬方法について、以下に詳しくご説明いたします。
4.1 お墓に納骨する
分骨を行った後、一般的な方法として残りの遺骨はお墓に納骨されます。手元供養を選ばれる方の多くが、一部の遺骨を手元に留め、残りをお墓に納める選択をされています。
4.2 永代供養墓に納骨する
永代供養墓は、霊園や寺院が長期間にわたり管理を代行するお墓です。子孫によるお墓の引き継ぎが不要であり、身近に親族がいない方などに適した選択肢です。お墓の維持管理に手を焼く方々にも、永代供養墓は一つの解決策として推奨されます。
4.3 海や山に散骨する
散骨は、遺骨を自然に還す方法として、海や山などに遺骨をまく行為を指します。散骨を行うには、遺骨を特定の細かさにするなどのルールが存在します。石原慎太郎氏が海に散骨されたことで知名度が上がりましたが、散骨可能な場所は地域の条例によって異なるため、事前の確認が必要です。
4.4 樹木葬を選択する
近年注目されている樹木葬は、特定の樹木をシンボルとして遺骨をその根元に埋葬する方法です。永代供養が前提であり、墓地や土地を必要としないため、経済的にも負担が少ないという利点があります。
5. 手元供養が可能な宗教について
手元供養は、特定の宗教や宗派に限定されるものではなく、どの宗教・宗派の方でも実施が可能です。無宗教の方や、仏壇を置くスペースがない、お墓を継ぐ人がいないといった現代の様々な事情にマッチした供養方法として選択されます。
6. まとめ
この度は、現代において新たに注目されている手元供養について、その留意点や遺骨の取り扱い方法についてご説明いたしました。避けて通れない人の死という現実に直面した際、故人を身近に感じたいという願いを叶える手段として、手元供養があります。これらの情報が、大切な方を亡くされた方々の供養選択の一助となれば幸いです。